示談書に記載された金額は適正ですか?署名する前に確認してほしいこと

2020/03/03

示談金の額に納得がいかない

示談交渉を自分自身で行うのが不安

そもそも示談金の内容が知りたい

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

ここにきたあなたは、すでに示談交渉のステップに進んでいるのかもしれません。
これから先示談交渉をする方であれば、必要な知識を備えておきたいとお考えなのかもしれません。
示談書にサインをする前に、適正な示談金が記載されているかどうかを検討することは、非常に重要です。

示談の全体像

示談までの流れと示談金の内訳

交通事故の怪我による治療などを終えると、最終的に「示談」について検討していくことになります。
示談とは、「損害賠償についての話し合い」の上、合意によって事件が解決することをいいます。
示談の相手方は、相手方加入の任意保険もしくは相手方本人になることが多いでしょう。
任意保険には「示談代行サービス」がついており、保険会社の担当者が示談交渉の窓口になります。
相手方が任意保険だった場合の、示談までの主な流れは以下になります。

これまでの記事では、過失割合や後遺障害等級認定について触れてきました。
これらは、最終的に受け取る示談金に直接関わってくるものです。

過去の記事に関しては以下をご覧ください。
過失割合についてはこちら
後遺障害慰謝料についてはこちら

▼「示談金」の主な内訳は以下になります。

①治療費
②通院交通費
③看護料
④入院雑費(入院した場合)
⑤診断書作成費用等
⑥休業損害
⑦入通院慰謝料
⑧後遺障害慰謝料
⑨逸失利益

「示談」という最終ステップで、被害者は示談金のうち未払いになっている分を請求していくことになります。
示談金のうち、治療費や休業損害は、先行して受け取ることがあります。

示談の効力

示談は、一度締結されると基本的には撤回できません。
つまり、示談成立後は、示談金の増額はできないということになります。
被害者にとって、最終的に「いくらもらえるか」は非常に重要な問題になります。
間違っても、治療費などが確定していないタイミングでの示談はしないでください。

 

保険会社と示談書を交わした後は変更ができないのですね? では仮に、治療の途中で示談してしまった場合はその後の治療費はもらえないということでしょうか?

そうなります。 示談書にサインする前に、弁護士に相談することをおすすめします。

ではつぎに、示談のタイミングについても見ておきましょう。

示談のタイミングと時効

示談のタイミングは、主に次の3つがあげられます。
・治療終了後
・後遺障害等級認定の申請をする場合は認定後
・死亡事故の場合は葬儀関係費用の清算が可能になってから

 

保険会社に損害賠償を請求できる期限はありますか?

損害賠償を請求できる時期は、法律により定められています。 不法行為における損害賠償請求の時効は「民法724条」に定められており、損害と加害者を知った時から3年とされています。

第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

※2020年4月から、改正民法が施行され、724条の時効「三年間」は「五年間」になります。 ※三年(五年)を過ぎてしまいそうな場合は、「時効の中断」が認められる場合もあります。

示談「案」の作成

金額提示について

示談書を取り交わす前に、まずは双方で「示談案」を出し合います。
その後双方の合意を経て、それぞれ示談書にサインをすることになります。

弁護士に依頼していない場合、被害者は自分自身で損害額を計算していきます。
損害額は法律で認められる範囲内で、なるべく高い額で提示していきましょう。

傷害事故の損害額算定

では、損害額の算定について項目ごとにいくつか見ていきましょう。
ここでは、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(赤い本)に基づいて説明していきます。
※請求の相手方は、加害者加入の任意保険もしくは加害者本人を想定しています。

①治療費関係
通院費や入院費などのことです。
加害者側の任意保険が治療費を負担している場合、任意保険に開示請求すれば診療報酬明細などの写しをもらえます。
被害者請求を行った場合は、「後遺障害診断書」の作成費用も請求できます。
請求書を手元に用意しましょう。
もし任意保険から受け取っていない治療費などがあれば、計上していくことになります。
相手が任意保険に未加入の場合は、ご自身でかかった費用のすべてを清算しましょう。

②通院交通費
通院に要した交通費になります。
タクシーの利用は、必要な場合に認められます。
これまで立て替えてきた領収書などを用意してください。

③看護料
入院付き添い費は1日あたり6,500円で計算します。
通院付き添い費は1日あたり3,300円で計算します。

④入院雑費
入院中に必要になった日用品費などの雑費になります。
1日あたり1,500円で計算します。

⑤休業損害
事業所に記載してもらった「休業損害証明書」に基づいて計算していきます。

休業損害の算定についてはこちらの記事を参考にしてください。

 

算定した金額のうち、未払い分を任意保険もしくは加害者に請求していくことになります。 納得のいく計算が終わったら、相手方に示談案を提示しましょう。

提示をした後は、保険会社からの回答を待つことになります。
相手方からの回答内容に納得がいかない場合は、一度専門の弁護士に相談してアドバイスをもらうことも有効です。

弁護士が示談を行う場合

弁護士依頼のタイミング

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するタイミングは、いつがベストなのでしょうか?

弁護士へ依頼するタイミングは、早ければ早いほどいいです。

交渉窓口が弁護士であれば、示談だけでなく、示談に至るまでのステップもスムーズに対応できます。
被害者自身で任意保険に交渉する場合、専門的な知識が必要なだけでなく、納得のいく額での請求が難しいことがあります。

 

保険会社は示談交渉のプロなので、対抗するとなると覚悟がいりそうですね。

弁護士費用が不安?

弁護士に示談の依頼をする場合、気になるのが「弁護士費用」ですね。
弁護士費用は、被害者自身の保険でカバーできる場合があります。
なお、弁護士費用が仮に保険でカバーできなかった場合でも、費用倒れになることは少ないでしょう。
詳しくは、直接弁護士事務所に問い合わせてみてください。

▼弁護士費用特約の補償内容

「弁護士費用特約」は、保険会社にもよりますが、だいたい年額2,000円ほどの保険料で付帯できます。
この保険を使うことによって、保険の等級が下がることもありません。
年間数千円でおおきな補償を受けられるので、加入して損はないかと思います。
弁護士費用特約は自動車保険のほか、医療保険などにも付帯できる場合があります。

 

弁護士費用特約は、被害者自身の保険に付帯がなくても、同居の家族が加入していれば使える場合もあります。

▼弁護士費用特約が利用できる人の範囲

①|記名被保険者
②|①の配偶者(内縁を含みます)
③|①または②の同居の親族
④|①または②の別居未婚の子
⑤|上記以外の保険契約をしている自動車に搭乗中の人

高額な示談金を相手方に提示できる

これまでの記事でも何度か触れてきましたが、弁護士は「弁護士基準」で示談金を請求します。
弁護士基準で計算された示談金は、訴訟で用いることを前提として設定された請求額です。
この基準は、各任意保険会社で設けられた任意保険基準よりも、高額に設定されています。

被害者自身でも「弁護士基準」で示談交渉を行うことはできます。
しかし、任意保険からは「弁護士基準は、裁判になった場合や弁護士が介入した場合の金額だから支払いできない」と拒否されることがあります。
その後、被害者が「交通事故紛争処理センター」を利用することもひとつの手ですが、手間などが多く発生します。

 

弁護士費用を差し引いたとしても示談金が上がるのであれば、弁護士に依頼したほうがよさそうです。

被害者自身の貴重な時間を節約するためにも、ぜひ弁護士に相談してみてください。

弁護士への相談窓口はこちら

アトム法律事務所では、交通事故被害者からのご相談を「無料」で行っています。
スムーズな手続きのためにも、まずは相談のご予約をお願いします。
フリーダイヤルは24時間365日、専任のスタッフが対応しております。

 

示談前であればどの段階でも相談できますか?

はい、できます。 持参頂きたい書類などもご案内しますので、お気軽にご相談ください。

交通事故は、一生に一度あるかないかともいわれる偶発的なものです。
いつ、だれに起きるかは、誰にも予測ができません。
納得のいく示談で解決できるよう、アトム法律事務所は親身になって対応いたします。

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