保険会社の過失割合は正しい?|過失割合で示談金の額は決まる

2020/02/21

過失割合はどうやって決まる?

加害者側ともめたらどうすればいい?

納得のいく過失割合にもっていくためには?

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

保険会社から提示された過失割合に納得がいかない、何を基準に過失割合が決定されたのかがわからないとお困りではありませんか?
自分は完全に事故の被害者だと思っていたのに、実は過失があったということはよくあることです。
では一体、過失割合とはどのようにして決まるのでしょうか。

過失割合の決まり方

保険会社から過失割合が提示されたら?

加害者側の保険会社と示談するにあたり、具体的な示談金を算定するためには、過失割合を決定させる必要があります。
決定された過失割合によって、示談金の額が変動するためです。
具体的には、被害者の過失分、被害者の受け取る示談金の額は減額されます。 そのため、過失割合を適正に決定させることは、非常に重要になります。

保険会社から過失割合を提示されたからといって、承諾しなければいけないということはありません。
保険会社は、過失について「過去の判例を基準に決定している」などと答えることが多いです。
しかし、それが適正な過失割合かどうか、被害者自身で確認する必要があります。

 

先日、保険会社から過失割合が提示されました。 保険会社は何を基準に過失割合を決めているのでしょうか。

弁護士に依頼していない場合、過失割合は任意保険会社同士の協議で決まります。 保険会社は基本的に、「過失割合基準表」の資料を参考にしている場合がほとんどです。

過失割合基準表とは

「基準表」とは、「別冊判例タイムズ38号 (民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」に記載された表のことをさします。
また、この基準表は保険会社だけでなく弁護士も用います。

しかし、保険会社の提示が必ずしも妥当であるとは限りません。
なぜなら、保険会社は営利組織である以上、保険会社にとって有利な過失割合の提案をしている可能性があるからです。

弁護士が介入した場合、同じく「基準表」に沿って請求していくことになります。
弁護士は、保険会社が提示した額を不当だと主張するため、客観的資料を収集して交渉していくことになります。

 

事故現場で対応した警察官が、過失を判断することもあるのでしょうか?

まず、警察が過失割合や賠償金額について介入することはありません。 ですので、警察官が過失割合を決定することはないです。 警察はあくまで、事故現場にかけつけ、事故の事実を記録する職務を負います。

事例を参考にした過失割合の修正

基本的な過失割合が出されたあと、事故状況によって加算や減算される要素のことを、「修正要素」と呼んでいます。 たとえば当事者の一方に、居眠り運転があった場合などです。

 

実際の事故ケースに当てはめて、具体的な過失割合の決まり方を見てみましょう。

この事例での基本的な過失割合は、判例に照らし合わせるとA20:B80と考えられます。(別冊判例タイムズ38より)
ここから、修正要素があれば検討されることになります。

【参考事例】
信号のない交差点内で、 直進車であるA車と、右折対向車であるB車が衝突した事故

▼修正要素の例

A車が15キロ以上の速度違反をした▷過失+10
A車が30キロ以上の速度違反をした▷過失+20
その他A車の著しい過失▷過失+10

B車が早回り右折をした▷過失+5
B車が大回り右折をした▷過失+5
B車が合図を出さなかった▷過失+10

 

■車両一般の「著しい過失」例は、
・わき見運転などの前方不注視
・ハンドルやブレーキ操作不適切
・酒気帯び運転 などがあげられます。

■車両一般の「重過失」例は、
・酒酔い運転
・居眠り運転
・無免許運転 などがあげられます。

過失決定までの順序
①事故類型の選択
②修正要素の検討
③修正要素を加減

具体的な過失割合決定までの順序は理解できました。 納得のいく過失割合になるよう、被害者は何をすればいいのでしょうか?

では、適正な過失割合決定を左右する、重要な手続き面についても確認していきましょう。

裏付け資料の収集

過失決定に必要な重要資料

具体的な過失割合について、被害者・加害者双方の見解が合致していれば問題ないのですが、そうでない場合、その根拠を示す客観的資料が必要になります。

▼過失割合のための重要な証拠・資料

交通事故証明書自動車安全運転センターが作成する交通事故発生の証明書
実況見分調書警察が作成した実況見分の結果を記載した書面
供述調書事故の被害者や加害者、目撃者などの言い分をまとめたもの

重要資料はどうやって入手する?

①交通事故証明書

まずは交通事故証明書を入手しましょう。
事故証明書は、自宅近くにあれば直接「自動車安全運転センター」の窓口で申請するか、郵送で請求することも可能です。 申請用紙は、警察署などに置いてあります。
また、自動車安全運転センターのホームページで申請することも可能です。
※郵送の場合、手元に到着するまでに10日ほど時間がかかります。

 

事故証明書はすでに加害者側の任意保険会社が取り寄せている場合もあります。 一度、任意保険会社にも問い合わせてみましょう。

次に、実況見分調書と供述調書の取り寄せについて説明します。
これらはまとめて刑事記録と呼ばれることもあります。

刑事記録の閲覧や謄写申請を行う場所は、事件が申請時点で「どこ」にあるかによって変わります。
捜査段階であれば非公開ですが、不起訴処分後であれば管轄の検察庁、公判段階であれば裁判所となります。

②実況見分調書

事故証明書が手元に届いたら、「事故照会番号」欄を確認します。
そこに、事故を取り扱った警察署の記載があります。
記載の警察署に、加害者の送致された日、管轄の検察庁を確認します。
次に、加害者が送致された検察庁に対し、「刑事記録の謄写」申請を行います。
弁護士に依頼すれば、弁護士法23条照会により、被害者の代わりに申請を行うことが可能です。

ただし、加害者が不起訴処分後でなければ閲覧・謄写申請を行うことはできません。
刑事訴訟法47条本文により、捜査段階では「非公開」とすると規定されているからです。

③供述調書

供述調書も、原則としては刑事処分確定後でなければ閲覧・謄写できません。
弁護士に依頼した場合は、弁護士が代わりに閲覧・謄写を行います。

 

なんだかとってもややこしそうです。 被害者は事故による通院もしなければならないし、必要書類を自分で準備するのは手間も時間もかかって大変です。

示談金の増額・手続きは弁護士に相談

被害者に過失のない事故の場合、被害者加入の保険会社は介入しません。
よって、被害者は、自分自身で保険の手続きを進めたり必要書類をそろえたりしなければなりません。
安心して治療に専念するためにも、過失割合や示談金については専門の弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故の被害者になってしまった場合、知識の豊富な弁護士に依頼すれば、ご自身で複雑な手続きをすることもありません。
弁護士費用については、相談料含め、被害者ご自身で加入している保険で対応できる場合があります。

アトム法律事務所大阪支部では、多数の交通事故案件を取り扱う弁護士が、親身になって対応いたします。
まずは相談だけ希望の方も、お気軽にご連絡ください。

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