後遺障害慰謝料|示談を待たずに後遺障害慰謝料を請求する方法

2020/02/25

後遺症が残った場合に受け取れるお金とは?

等級認定はどのようにして行うの?

慰謝料は同じ等級でも金額に差が出る?

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

事故による怪我で頑張って通院していたのにもかかわらず、症状が残ってしまった・・・。
そのことに対する精神的苦痛は計り知れないですね。
この記事では、被害者の方がもっとも有利に後遺障害慰謝料を受け取れる方法や、慰謝料相場について説明していきます。

後遺障害等級認定|2つの重要ポイント

交通事故による怪我が完治せず、後遺症が残った場合、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料を請求できる場合があります。
ただし、「後遺障害」として認定された場合に限ります。

①後遺障害と後遺症の違い

治療に専念したにもかかわらず、治癒後になお残る機能障害などのことを、「後遺症」といいます。
さらに、その後遺症が後遺障害等級認定表に当てはまったら、「後遺障害」として認められるということになります。
治療を続けてもこれ以上の改善が見込めないことを、「症状固定」といい、後遺障害等級の決定においては、労災保険支給で用いる等級表を準用しています。

 

症状固定をむかえたら、後遺障害等級認定の申請を検討することになります。

②事前認定と被害者請求

後遺障害慰謝料を受け取るためには、加害者加入の自賠責保険に対し、後遺障害認定の申請をする必要があります。

自賠責保険へ認定申請する方法は、事前認定と被害者請求の2つがあります。

■事前認定
加害者側の任意保険が、被害者に代わって、自賠責保険に後遺障害等級の認定申請をおこないます。

■被害者請求
被害者自身が、加害者側の自賠責保険に、後遺障害慰謝料などを直接請求することをいいます。
弁護士はこの方法で請求します。

事前認定のメリット・デメリット

事前認定とは、加害者加入の任意保険会社に申請を一任する方法です。
任意保険は自賠責保険に対して、あらかじめ認定される等級を確認できます。
事前認定の場合、申請に必要な書類のほとんどを、任意保険会社がそろえてくれます。

「メリット」としては、被害者に代わって任意保険が申請手続きを行ってくれるため、被害者の負担は最小限ですむということが挙げられます。

事前認定のメリットはその1点のみになります。

 

つぎに、事前認定の「デメリット」について説明します。

事前認定の場合、相手側の任意保険が、被害者にとって有利に動いてくれるとは限りません。
任意保険会社はあくまで営利組織です。 被害者にとって有益な書面を全て出しているかといわれれば、疑わしいです。
結果、事前認定の場合は正確な等級認定がされない可能性が高いといえるでしょう。
また事前認定の場合、自賠責保険分の慰謝料は任意保険会社分と合わせて示談後に払われます。
示談がまとまるまでは、保険金を受け取ることができません。

被害者請求のメリット・デメリット

被害者請求とは、被害者自身が自賠責保険に対し、後遺障害慰謝料などを請求する手続きをいいます。
自賠責法16条に規定があることから、「16条請求」とも呼ばれています。
被害者は、加害者加入の自賠責保険会社を確認し、必要書類をそろえて提出することになります。

 

被害者請求は自分で書類をそろえる手間がかかるのですね。 事前認定と比べるとデメリットと言えますね。

はい。 しかし被害者請求には注目すべき「メリット」がたくさんあるんですよ。

被害者請求は必要書類をすべて自分で揃えなくてはならず、負担がかかります。
しかし、必ずしもデメリットだけではありません。
むしろ、被害者にとって有利な内容が記載された診断書などを提出できるメリットでもあるのです。
提出書面が充実しているほど、より適正な認定等級が期待できます。

※被害者請求に必要な、書類一式や記入方法などの説明書は、加害者加入の自賠責保険に問い合わせれば入手できます。

 

事故の被害に遭ったら、任意保険の担当者に全て任せておけばいいと思っていました。 そこには見えないデメリットも存在するのですね。

あくまで交渉の相手は「加害者側の」保険会社になります。 そう考えれば、事前認定のデメリットについても理解できますね。

等級認定は誰が行うの?

等級の認定は、第三者機関である「損害保険料率算出機構(損保料率機構)」が行います。
必要書類を加害者加入の自賠責保険に提出後、自賠責保険は損保料率機構に調査を依頼することになります。 判断の公平性をたもつため、損保料率機構に全件の調査が委ねられているのです。

被害者請求にはどんな書類が必要?

被害者請求に必要な書類一覧表は、各自賠責保険会社が発行している書類一式に同封されています。
請求内容によって必須書類の項目は分かれます。
後遺障害慰謝料の請求の場合、後遺障害診断書が必ず必要になります。 通院先の担当医師に、必ず記入してもらいましょう。

では、事前認定と被害者請求のメリット・デメリットをまとめておきましょう。

 

▼事前認定と被害者請求のメリット・デメリット

事前認定被害者請求
請求の主体任意保険会社被害者 (弁護士に依頼の場合は弁護士)
メリット手続きの手間が最小限有利な資料を準備できる・慰謝料が早くもらえる
デメリット満足のいく結果が得られない場合がある手続きが面倒

後遺障害慰謝料の相場

慰謝料支払い額の3基準

まずは、慰謝料支払いの3基準について説明します。 表をご覧ください。

自賠責基準被害者に対し、法令で定められた最低限の保障。金額は最も低い。
任意保険基準任意保険会社が独自で定めた基準。自賠責よりは高いといわれる。
弁護士基準裁判所基準とも呼ばれ、過去の判例に基づいて算出しているため最も高額。

後遺障害が認定されると、調査事務所は自賠責保険へ結果を報告します。
被害者請求の場合、示談を待たずに後遺障害慰謝料を受け取ることが可能です。
(事前認定の場合は示談後に受け取ることになる)
しかし、示談に先行して受け取れるのはあくまで自賠責保険から支払われる保険金です。
この自賠責保険から支払われる金額が、「自賠責基準」と呼ばれるものになります。

 

自賠責基準は、任意保険基準や弁護士基準に比べて低いと聞きます。 先行してもらえる分が自賠責基準なら、それ以上の額を受け取るにはどうしたらいいですか?

その後受け取れる金額は、事故対応を誰に依頼したかによって変わってきます。 下の表をご覧ください。

▼後遺障害慰謝料の3基準

等級弁護士基準任意保険基準※1自賠責基準
1 2,8001,3001,100
22,3701,120958
31,990950829
41,670800712
51,400700599
61,180600498
71,000500409
8830400324
9690300245
10550200187
11420150135
1229010093
131806057
141104032

※1 旧任意保険支払基準を参照、現在は保険各社が独自に設定
※2 慰謝料の単位は万円

 

基準によってかなりの金額差が出ますね。 弁護士に依頼すれば、自賠責を超える分は弁護士基準で請求が可能ということでしょうか?

そうなります。 加害者側の任意保険会社が事故対応をしている場合は、任意保険会社独自の基準で再計算されます。

▶(例)後遺障害等級1級が認定された場合

「後遺障害慰謝料」は、まず自賠責保険から最低限1100万円が支払われます。

 

後遺障害等級申請した主体が加害者側任意保険の場合おおよそ200万円(1300万円-1100万円の差額)が任意保険から支払われる
後遺障害等級申請した主体が弁護士の場合おおよそ1700万円(2800万円-1100万円の差額)が任意保険から支払われる

このように、被害者請求を誰が行ったか、事故後誰に介入してもらったかで、慰謝料の受取金額は大きく変わります。
被害者が、ご自身で被害者請求を行うこと自体は可能です。
しかし、満足のいく等級が認定されても、支払われる金額はあくまで自賠責基準(加害者が任意保険に未加入だった場合)か任意保険基準で計算されたものになります。
弁護士が介入すると請求の基準があがるため、任意保険会社独自の基準ではなく弁護士基準での再計算が可能になるのです。

後遺障害慰謝料を高額で請求するなら弁護士へ

同じ等級なのに、誰が介入するかによって金額に差が出るのですね。 私なら、弁護士基準で請求したいです!

弁護士基準だと、1級であれば慰謝料だけで2800万円ですが、逸失利益も含めると3000万円を超える場合がほとんどです。 同じく1級でも、自賠責基準だと慰謝料や逸失利益を含めても3000万円が限度となっています。

手続き面だけでなく、治療中のご相談なども、事故対応の経験豊富な弁護士にお任せください。
きっと満足のいく結果が得られるでしょう。

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